お薬のPTPシートのヒミツ
青葉店
2019/08/21
お薬の入っているPTP(プレススルーパック)シートってありますよね。
片面がプラスチックで、反対側がアルミで覆われています。
もちろん、お薬を長持ちさせるためのものです。
このシートにはミシン目がついているのですが、お薬を飲んだことのある方は、ご存知だと思いますが、このPTPシート、
縦にのみ切り離せるシートと、
横にのみ切り離せるシートの2択しかありません。
つまり、手では1錠ずつに切り離すことができないようになっているのです。
これはわざとそうなっています。
それはなぜかというと、「PTPシートの誤飲防止」のための措置なのです。
ではハサミをつかって1錠にしてみましょう。
どうでしょう。
この状態になると、四つ角が鋭利な刃物と化してしまします。
これを誤ってそのまま飲み込んでしまうと、どうなるかわかりますね?
この四つ角が喉や食道をざっくり切ってしまうんです。刃物を飲み込むようなものです。
この事故は高齢者を中心に、数多く発生しました。
また悪いことに、
● 飲み込んでしまっても、本人が痛みを感じないと発見が遅れること
● レントゲンになかなか写らないため、内視鏡でしか発見手段がないこと
などが症状を悪化させてしまいます。
もちろん、製薬メーカーも対応に動きます。
1996年以降から、PTPシートのミシン目は一方向のみのデザインに変更しました。
これで一番細かくできたとしても2錠。これだけ大きければ飲むこともあるまい。
しかし、それでも事故は無くなりませんでした。
それは、患者様やそのご家族が、家に帰ってから1錠ずつにシートをハサミで切り離してしまうことがあるからです。
1回服用分ずつに薬をお薬ケースなどに入れる・・・・
こうしているかたいらっしゃいませんか?まさに、これがいまだに無くならない誤飲事故の原因となっています。
もしそのよーな保管方法をとられている方や、その家族の方は、服用の際には細心の注意を払っていただきますようお願いします。
我々薬剤師も、患者さんにお薬をお渡しする場合は、可能な限り1錠単位にならないように調剤をしています。
もし、PTPシートのまま飲み込んでしまったかもと思ったら、すぐに医療機関を受診されてください。自力で出すことは難しく、大変危険です。
また時間が経過すると、摘出も困難になりますし、消化管を大きく切ってしまう(穿孔(せんこう)といいます)と、結局手術が必要になります。
「そんな失敗あるわけないわ~」と思われるかもしれませんが、
毎日薬を飲む中で、ちょっとした油断で起きているようですので、皆さま十分お気を付け下さいませ。